第1章 骨董屋

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 店主に病院の場所を聞いてそっちへ向かった。 大きな病院には銀の羽がある。それさえ見つかれば簡単に行ける。  言われた通り道を行くと銀の羽が見えてきた。 この羽で集めたエネルギーで病院の医療機器は動いている。 ただ原理は誰も知らず、老朽化して故障も増えているのに壊れたら直せる人がいない。 そのことが今、問題になっている。  近隣の村からも患者が来るので大きな病院はたいてい混んでる。 案の定、かなりの人が診察待ちをしていて診てもらうまで3時間ほどかかった。  事情を説明し、左腕、左肩、左足のレントゲンを撮ってもらった。  結果は問題なしで、腕も肩も足もズレもなくきれいにつながっていた。  博士の適切な処置のおかげなので、あたらめて感謝した。  その後、時間もあるんで帰りの食料を調達しようと市場へ行き物色している最中、 ファムが一緒なんだから乗せてってもらえばいいんだ、と気付いた。  ファムのスピードならたぶん3日、遅くても4日で着く。  乗り心地は快適とはいえ、どうせ乗るなら鞍とか手綱みたいなのがあった方がいい。 あ、その前にファムに乗せてもらえるか確認しないと。  さっきみたいに人が多いところで呼ぶとまた騒ぎになるので、人気のない場所に移動した。 「ファム」  大声を出して他の人に気付かれても困る。 実験を兼ね普通の声の大きさで呼んでみた。 “やっぱ無理か”  と、考えているさなか、ふわふわとやって来た。  これで目じゃなくて耳がすこぶる良いのだとわかった。  ファムはそばまで来ると、 “なに?”  と、いった感じで顔を覗き込んだ。 「明日からのことなんだけど、ホルツ村まで乗せってってくれるかな?」  わかったらしく体を揺らしてうなずいた。
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