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「どうしたんだね、その荷物は」
店主は大荷物に驚いた様子だった。
「ファム用の鞍や手綱を作ろうと思いまして」
「ああ、なるほど、そういうのを作るのがうまい奴も今夜呼んであるから、
そいつに作ってもらうといい」
「呼んである?」
「ああ、皆も君の話が聞きたいというから知り合いをたくさん呼んだんだ」
知らぬ間になんだか大事になってる。
「え? あの、そんなお聞かせするような話なんて別に」
「いやいや、この世で初めての浮遊魚使いの話に聞く価値がないわけがない」
浮遊魚使い? なんか虚像が独り歩きしてる気がする……。
「みんな楽しみにしてるよ」
ポンポンと背中を叩いて、店主は奥へ行ってしまった。
えっと、まいったな、どうしよう。今さら逃げるわけにもいかないし、
腹を決めるしかないか。
谷から戻ってこっち、予想外なことばかり起こって自分自身がついていけない。
ちょっと頭を冷やして冷静になろう。とりあえず、落ち着くために大きく深呼吸をしてみた。
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