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どこまでも続く砂漠がそこにあった。
それは時折、砂の嵐を作りだし、行く者達の視界を遮る壁となり、音を轟かせながら迫っては消え、は、迫っては消えを繰り返していた。
ふと、砂漠の砂の中、鈍く光る一本のレールがそこに牽(ひ)かれていた。
黒光りし、一片の曇りも、汚れもない。
それは、前にも後ろにも、ただ永遠と伸び、それより先は砂によって覆い隠されていて、伺うことは出来ない。
――その時である。
――ただひとつの轟音。
先ほどまで暴れていた砂の嵐を巻き上げ、蹴散らしながら、その物体はどんどん近づいてくる。
――そして。
その物体が通り過ぎる直前、ただ真っ直ぐ延びていたレールの一部が突如切れ、左へと湾曲し、その先に新たなレールが忽然と付け足される。
「このままだと――」
――どこからともなく響く、渋く低い男の声が聞こえた。
「――未来が危ないですねぇ」
――レールの上を、赤と白のコントラストに身を染めた列車が、目の前を左へと曲がり、通り過ぎていった。
――Act:0...END...
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