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そして、この学園は中高一貫である。もちろん寮も中等部から分かれることになる。
中等部入学初日に個人の能力に合った『加護』を授け、より強力な力を扱えるようになるのだ。
それから寮選択になる。
「……と、まあ中等部でもした説明をした訳だが、よく分かってはいると思う。
高等部になって俺がこれから3年間お前達の担任を務める〈湯崎 充〉だ。
ここは自由と創造 の【ルーズムブル寮】。
よって自由人ばかりの巣窟だと身構えてはいたが…………….、
2ヶ月もなって一度も教室に来ない奴が居るとは思わなかったなぁ、先生。
地味に心に傷がつくんだよなぁ…」
「そして2ヶ月も同じ事を言うの繰り返す先生も先生ですけど…」
茶髪の結構顔のいい教師、湯崎が項垂れていると、先頭の席の爽やか風の青年が苦笑いする。
「ん~…というか流石に自由と言っても学校だからな…出席日数というのが足らないとちょっと困るんだよねぇ…。
よしっ。小林。お前迎えに行ってこい。」
「えっ!?俺!?」
「お前学級委員だろ?ぴったりじゃないか。また詳しい話は昼休憩の時するから俺の準備室まで来い。」
「え~……」
この時クラスメイト全員は思った。
(また先生の無茶ぶりが始まった…)
それからチャイムが鳴り、先生はご機嫌で教室を出て行った。
「風太、ドンマイだね。」
「…千鶴…」
ニコニコとしながらやってきたのは幼馴染みの浅井 千鶴。偶然にも同じ異能とういう力が宿りこの学園にやってきたのだ。
「まだ来ないのってあの端っこの席の…なんだっけ?えーと、く…く…」
「紅劉 葵(くりゅう あおい)だよ。2ヶ月も来ないって…本当にいるのか?」
「そう!紅劉君!謎だよね~。でもいろんな噂は聞くけど?」
「噂?」
「うん。このルーズムブル寮で最弱…ワーストランクだとか、遊び人とか、ブサイクとか、あと生徒会の誰かの愛人だとか。」
「ひどい噂だな」
本当にそんな噂の人物なのか…不安でしかない小林はどんどん気が重くなっていった。
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