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少し息抜きに花園に来てみれば、一つだけ真っ黒の存在が見えた。
「……来てたのか眠り姫」
そっと近付き葵の頭を柔くすくのは生徒会長である凩。
「ポテチ起きてんだろ?」
《……煩いわ小僧。俺に話しかけるな》
「随分ご機嫌ナナメだな。」
《お前達が視界に入るだけでご機嫌ナナメになるわ!葵にこんな首輪つけやがって…》
「何で必要かは知ってるはずだ。葵もちゃんと納得してる。」
ぷんすか喚くポテチに、凩は真剣な顔で答える。
「……俺が何とも思ってないとでと思ってるのか?」
その声はどこか怒りにも似ていて。ポテチは不服に思うも反論はしなかった。
「それと。今回は"全ての寮"の1年に、初任務を与えている。
……この意味が分かるな?」
《……何だと?それじゃあ…》
「くれぐれも、鉢合わせしないように気を付けてくれ。…ま、寮ごとに区域は分けさせてるが……これを機にと考える奴だ。油断は出来ない。
…それと、任務先でだが」
《まだあるのか!?お前はオカンか!》
「しー。葵が起きる。」
《ふが》
凩に口を手で塞がれた。チラと葵の方を見るとちゃんと静かな寝息をたてているのを聞いて安心する2人。
「…で、任務先だが、そこまでは俺の目が届かないからな。しっかり見ておいてくれよ。無理させないように…な。
葵の異能を使うような状況にならないのが一番だが。」
《…勿論だ、ちゃんと見てる。》
ポテチのその言葉を聞くと、凩はフ…と笑んで立ち上がった。
そして葵をとても愛おしそうに見つめると花園から出て行った。
《…本当に、お前の葵への忠実さはあの頃から変わらんな…気持ち悪い奴だ。》
一体それはどんな気持ちで言ったものなのか。ぬいぐるみのせいで読み取れない表情で、誰もそれを分かるものは居ないだろう。
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