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暖かい日差しが入り、とても良い花の香りと辺り一面色取り取りの花が見渡せる空間で、たった一人の静かな寝息が聞こえてくる。
「………すー…」
「……まだ寝てるのかよこいつ」
そう言ってクスッと笑う人物が1人。
「俺の温室な筈なんだけどなぁ…。ま、いっか。可愛いし。」
その人物の制服の襟に付いてるバッジがキラリと光った。
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「先生?湯崎先生?小林です。」
「おー!来たな。」
「連れて来てほしいのって紅劉ですか?」
「そうそう。俺も一回しか会った事ないんだけど…」
その言葉に小林はびっくりする。
「会った事あるんですか!?」
「あー…まあ、うん。教室には一回も来てないんだが、高等部の入学式の前日にな。ちょっとワケありなんだよ。
で、その紅劉 葵なんだが、恐らく最上階の花園にいるはずだから。」
「えっ……?ええ!?あそこって会長の専用温室じゃないですか!!無断で入っちゃダメでしょ!?」
「あー、大丈夫大丈夫。俺がちゃんと許可とっといたから。」
「えー……」
それもそれで面倒だ…と思う小林だった。にしても…
(会長だけが入れる温室にいるって…一体どういう事なんだ…?)
「あ、あと…紅劉見つけたら驚くかもしれないが、驚くなよ?」
「………たとえごっつい男でもかわいい女の子でも驚いたりしないですよ。」
もう何かに疲れだした小林は準備室を出て行った。目指すのは最上階の花園。誰もが憧れる手の届かない庭園だ。
そこにまさか自分が行く事になるなんて……
もっと気が重くなっていくのだった。
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