11章 精を喰らわば骨まで

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闇深まる十三の刻… 魔物が魔物を狩ることを許された時がやってきていた── 生い茂る樹木、腐敗した土に隠れた虫達。そこにある全てが動き始める。 強者は弱者の敵となりてまた血肉となる 因果応報── 弱い餌を仕留めた魔物はその肉を食らい、そしてその血肉に潜んだ虫達に内臓を食い荒らされた。 巨人オーガ。倒れたその巨体の耳から虫が這い出る。 内臓も小さな脳みそも食い荒らされた大きな体の屍に次なる魔物が近づき涎を垂らしていた。 牙を唸らせ他に近寄る魔物を牽制する。 1つの大きな胴体には三つの頭部がついている。尻尾は大蛇と化し、たてがみには無数の蛇を巻き付けた地獄の番犬 ケロベロスは三つ顔で舌舐め擦りを執拗に繰り返した。 『あい変わらず臭い肉だ』 涎を飛ばして肉を貪りながら三つの頭で頷きあう。1つの頭部は近寄ろうとする魔物を威嚇し、1つはオーガの頭を、1つは肉体を骨ごと噛み砕き貪っていた。 首に巻き付いた無数の蛇達は流れる緑の生き血を長い舌でチロチロと掬う。 ケロベロスの腹に染みてきた肉の栄養に尻尾の太い蛇が嬌声を上げて吠えていた。
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