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「──……おや、ルナ様、如何なさいましたかな」
「っ…今日は魔力は使わないの?手でするなら掃除はあたし得意よっ手伝うわ!」
肩で息を切らし、嬉しそうな顔を見せるルナをモーリスは断りきれずフッと微笑んで返した。
「この部屋は私の思い出の詰まった大事な部屋でございます──なので自分の手で掃除をと思いましてございます」
「思い出?…」
聞き返したルナにモーリスは優しく微笑み頷いた。
よく見てみれば埃にまみれてはいるが、かなり物のいい家具が揃えられている。
薄いピンクのベットシーツ、天蓋から垂れさがる柔らかなレースの生地はあの富豪のアルフォード家でも見たこと無いような高価そうな素材だ──
置いてる物からして見るからに女性の部屋だ。
「ここは…女の人が居たの?…」
尋ねるルナにモーリスはゆっくりと深く頷いた。
モーリスは部屋隅まで歩くと大きなワイン色のカーテンを開いて見せる。
そこには沢山の肖像画が飾られていた──
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