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「やはり胸はぶかぶかだな」
「な!?」
「足も短いから裾が余り過ぎる」
「まっ!?」
「色も未熟なお前に深紅は着こなせまい…」
「っ…」
「純白の白も然り──…淫乱なお前には到底、不似合いだ……」
「──……っ…」
二枚のドレスを着せられて、もこもこした姿のルナの全身を眺めながらグレイは厳しい評価を口にする。
まるで蔑み、虐げたような言葉ばかりだ。
投げ掛けられるグレイの言葉にルナは真っ赤になって不機嫌も露にブルブルと躰を震わせる。
「じゃあ着せなきゃいいでしょっ!」
涙を滲ませてルナは叫んだ。
グレイはそんなルナを愉し気に見つめて口を歪めた。
「ふっ…だから着せたのだろう?」
「……!?」
「着せなきゃお前に似合うように仕立てられん」
「……──」
グレイはえ、と表情を無にするルナの腰をそっと抱き寄せた。
「な、なに?何するの…」
ルナは余りにも優しく腰に添えられた腕に激しく動揺を見せる。
グレイはそんなルナを笑ったまま、ルナの片方の手を取った。
驚いたままの瞳のルナの耳に微かに音楽が聴こえてくる──
「……──」
ワルツだ…
優しげな音色
柔らかいヴァイオリンの弦から奏でられる澄んだ音が次第に大きくなりこの部屋に響き渡る。
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