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ルナは目を見開いて辺りを見回した──
薄暗く、書物の棚に囲まれていた執務室が明るく照らされてまるで城の舞踏会のような風景が広がっている。
周りで着飾り楽しそうに踊る人達──
隅で様々な楽器を手にして音楽を奏でる楽団。
至るところではグラスを手にして談笑に頬を緩める紳士淑女の姿がある──
呆気に取られて居ると腰を抱いていたグレイの躰がルナをリードしながらゆっくりとリズムを刻み始めた。
柔らかいワルツの曲に揺られながらグレイはルナの手をとりダンスを始める。
「あ、あたしダンスなんてしたことなっ──」
「なら今、覚えろ…」
「…っ…──」
腰をぐっと引寄せて耳元で囁く。
「心配することは何もない…俺が全て教えてやる…」
「……っ…」
腰に回っていた手で髪を撫でられながら耳を隠す髪を掻き上げられる。
グレイは露になった耳郭に唇を付けながら甘い囁きを口にした…
「俺と四六時中、一緒に居ればこれからは嫌でもこう言った場面に出くわす──今からでも慣れていくことだな…」
ゾクリと胸が痺れた。
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