12章 主従の契約(前編)

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・ “俺と一緒に居れば──” 一緒に… これからはこういった場所にもこの人と?── ベッドだけではなく こんな賑やかな楽し気なところへあたしを連れて行ってくれるの?── 人ではなくなる変わりに貴方はあたしにこんな時を与えてくれる? 今まではまったく無縁だった華やかな世界── 舞踏会で着飾って踊るなんて夢のまた夢── あたしは産まれてからずっと灰かぶり姫を地でいく生活を送っていた。。。 そんなあたしにこんな世界を教えてくれるというの? “私は旦那様に感謝してもしきれません…” モーリス… あなたの言葉が何となくわかる気がする… 人ではなくなる覚悟── どんな思いでその時を迎えたかは気になるけれど… 人ではなくなってもずっとこの人の傍に付いていたあなたの言葉なら── あたしは信じてみようと思う── 踊ることに対して強ばっていたルナの躰から力が抜けて行く。 甘く優しい束縛 “俺と一緒に…” グレイのその言葉に胸がざわめく… ルナは踊るグレイの腕に身を委ね、流れる音楽に素直に躰を揺らした。
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