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ルナは、えっ!?…と驚いた。姿を消し、問い掛ける間もなくルナはグレイと共に邸のバルコニーに降りたっていた。
マントに包まれていた体が解放される。
二、三歩足を進めるといつものバルコニーとは様子の違うことにルナは気付いた。
「ここは…──」
「俺の部屋だ」
「──…っ…」
「今日からお前はここで眠る」
「な──…っ…そんな勝手なっ…」
嫌じゃないのにそんな言葉が出てしまう。
「嫌か?」
グレイは真っ直ぐにルナを見つめていた。
その瞳にルナは戸惑いを見せた。
「い、嫌ってわけじゃ…//」
「嫌でもここに居てもらう。お前の部屋はたった今、消した──」
「──…!」
グレイの言葉にルナは驚いていた。
「──なんだその顔は?消されて不便か?」
「別にそうでは……」
そうだ…
すべてこの人が造り出した物──
だからこの邸にあるもの全部…
この人の指先一つで存在を無くすことができる。
グレイは俯くルナの頬に手を添えた。
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