12章 主従の契約(前編)

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・ ルナは、えっ!?…と驚いた。姿を消し、問い掛ける間もなくルナはグレイと共に邸のバルコニーに降りたっていた。 マントに包まれていた体が解放される。 二、三歩足を進めるといつものバルコニーとは様子の違うことにルナは気付いた。 「ここは…──」 「俺の部屋だ」 「──…っ…」 「今日からお前はここで眠る」 「な──…っ…そんな勝手なっ…」 嫌じゃないのにそんな言葉が出てしまう。 「嫌か?」 グレイは真っ直ぐにルナを見つめていた。 その瞳にルナは戸惑いを見せた。 「い、嫌ってわけじゃ…//」 「嫌でもここに居てもらう。お前の部屋はたった今、消した──」 「──…!」 グレイの言葉にルナは驚いていた。 「──なんだその顔は?消されて不便か?」 「別にそうでは……」 そうだ… すべてこの人が造り出した物── だからこの邸にあるもの全部… この人の指先一つで存在を無くすことができる。 グレイは俯くルナの頬に手を添えた。
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