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「何が足りなかった?──これか?…」
グレイは窺うように顔を覗き込むとパチンッと指を鳴らした。その途端、以前ルナの部屋にあったショッキングピンクのクッションがグレイのベットの上にポンッと現れる。
ルナはは思わず口を押さえて驚く。
「それともこれか?──」
またパチンと指を弾くと三面鏡のドレッサーが部屋の隅に現れていた──
「欲しいものを言え」
グレイはルナの頬に手を当てたままそう囁く。
「なにも…っ…//」
なれないグレイの優しさにルナは顔を背けて否定していた。
グレイはそんなルナを見てふっと笑った。
「お前は何も要らないと言いながら、あらゆるものを要求するな──」
「──…!っ」
背けたルナの顎を捕え自分に向かせる。
「お前は口に出さず要求するものが多すぎる…」
「べ、べつに何も要求なんかしてなっ…」
グレイは反論するルナに柔らかく口付けた。不意に唇を塞がれルナは押し黙る。
愛して欲しい
優しくして欲しい
俺のことが──…欲しい──…
グレイは口端に妖しい笑みを浮かべた。
「まあ…いい。お前の欲しがるもので俺に差し出せないものなどない──」
「──……//」
理由もわからずグレイの零す余裕の笑みになぜかルナは顔が赤らむ。
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