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朝の陽射しが庭の花壇の花に柔らかく注いでいる──
ルナはその庭を歩きながら小さな野バラの花を指先に添えて見つめた。
まるで人間の世界にあるそのままだ──
この邸にある植物や枝を這う昆虫達。ルナはそれらを見に止め、空を見上げた。
太陽は相変わらず見当たらない。それでも空は明るく射光は眩いくらいに地上を照らす。
はっきり言ってここに居てなんの不自由も感じない──
そうやってルナが庭を見渡していると離れた場所でバタンっ──と音がした。
ルナは後ろを振り返る。
音の出場所に目を向けるとずっと閉めきられていた筈の邸の部屋の窓が大きく開かれていた。
長年の蓄積だろうか?
開いた拍子に白い埃が舞っている。
見ているとその窓から頭と顔を埃避けの為にハンカチで覆い隠したモーリスが顔を覗かせた。
モーリスは下に居るルナに気付かず咳き込みながら赤い布切れをパタパタと窓の手すりではたいている。
昔ルナがよくやっていた掃除の風景だ──
ルナはモーリスのその姿に思わず笑みを浮かべた。
掃除かしら?なら手伝ってあげようっ!
ワクワクしながらルナは邸の中に駆け込んだ──
普段なら指先でパチンとやって掃除完了の筈が懐かしい動作を見せて身体を使うモーリスに、ルナは親しみを覚えながら急いでその部屋へ向かう。
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