モノクローム

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 三ヶ月前、同じように俺の部屋でこのメンツで集まって、会議を開いた。というか、開かされた。  格闘ゲーム十連戦、負けたやつが好きな人を教えるという賭けをして、当然のように俺が負けた。そして達哉が「さらに十連戦」と言い出し、今度は「負けたやつが好きな人に告白する」になり、また俺は負けたのだった。普段なら勝てるのに、どんだけ本番に弱いんだ。  だけどラインもメールアドレスも電話番号も知らない。だからって、直接告白するなんてとんでもない話だ。 「……てことは、手紙か」 「こいつに手紙なんか書けるのか?」  達哉と順は、示し合わせたように俺を見た。そして今度は俺をそっちのけで顔を見合わせる。 「インパクトはあるな」 「笑われるか、感動してくれるかどっちかだな」 「なんだっていい。変に夢を見るな。見事に散ってみせろ!」  達哉が俺を指差した。順がうなづいた。 「散りたくない!」  ――叫んだが、罰ゲームは絶対だった。  無視したらどんな目にあうか。  俺は手紙の書き方をインターネットで調べ、時候の挨拶からはじまる手紙を書いた。  実のところ、彼女とは話したことがなかったから、いきなり告白はやめたほうがいいのではないかと思い、無難な内容のものを書いた気がする。ビビったわけでは断じてない。めちゃくちゃ緊張しながら、彼女の靴箱にそっと入れておいた。  そして驚いたことに、次の日彼女から返事が来ていたのだった。
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