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そして三か月後の今日。
達哉がコントローラーを操り、華麗にシュートを決めて、言った。
「だからって、なんで文通をしてるんだ」
順が舌打ちをしてから、八つ当たり気味に俺を睨んだ。
「分かってるんだろうな、マサ」
「なんだよ」
明らかな八つ当たりにちょっと怖気づきながら、俺は手紙を大事に抱える。
「お前、まだ罰ゲーム終わってないぞ」
そう、確かに。まだ告白はしていない。
同じ学校、隣のクラス。他の子みたいに染めていないストレートの黒髪と、背筋が伸びて、スッと立ったときの姿勢がキレイで、控えめで、だけどよく笑う。
最初はそれくらいしか知らなかった。イメージで好きだった。
だけど、今はもっと色々知っている。
本を読むのが好きで、感動屋で、でもアクション映画が好き。コンタクトにしないの、といわれながらも、面倒だからとメガネをかけている。そんな意外なところが、余計にかわいい。
――好きな人がいる。
それだけで、なんだかウキウキする。だけど、つまらないことで落ち込む。声を聞くとテンションが上がる。姿が見れないとつまらない。そんな感情だけで一日が過ぎる。
だけど、致命的なことがある。
俺はまだ、彼女と直接話したことがないのだ。
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