14人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
また、一歩遅ければ、最大七名の命が失われる事件だったこと。
それらを勘案した結果、警視庁は知能犯を相手にする捜査二課を主軸にした捜査チームを組み、全国に指名手配した上での捜査が開始されたのだ。
「これまでは少額の空き巣や窃盗で細々を食いつないできた彼らも、これで一巻の終わりです。クレジットカードの使用場所がすぐに割れて、急行した捜査員に確保されることでしょう」
しかし、松樹はうーんと唸ったまま首を横に振った。
「そういう奴らじゃないと思うのよね。あのクレジットカードだって、そのまま使うかどうか。会員情報流出で株価暴落させて、底値で買い取って大儲けさせたりとかするんじゃない? とにかく、一筋縄じゃいかない気がするのよ」
「そういうものでしょうか」
だが、こうして追われる身になったことは事実なのだ。
前に松樹から借りた本にこんなことが書いてあった。
「小食は長生きのしるし、なのですよ」
これまでと同様に細々とやっていっていたら、そのままコソ泥として人生を全うできたであろう彼ら。
しかし、今回は大きな獲物を狙ってしまった。
小食だった彼らは、なぜ今回だけ大食いにチャレンジしたのか。
その背景には何かある。
杉元も少しだけ見えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!