問題

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 悩んでいると、松樹がくすっと笑いながら違うメニューを見せてくれた。  そこにはごく普通の料理が並んでいたのだ。  この店は、杉元のような客も受け入れてくれるらしい。 「良かった……」  そうして、二人だけの宴は始まった。  この後に取材が控えているためアルコールこそ飲まなかったものの、注文をしたのは完全に夜のメニューだった。  松坂牛のカルビとロース、近江牛のレバー、米澤牛のタン。それに野菜盛り合わせと店で作っている特製キムチ。  運ばれてくる肉と野菜を七輪で焼き始めると、食欲をそそる匂いが煙とともに天井へ向けて上っていった。  昼間からこんなに豪勢な食事でいいものかと思ったものの、松樹が喜んでくれるならと自分を納得させながら、杉元も焼けた肉を口に運ぶ。  出た言葉は一つだった。 「おいしい……!」  その柔らかさ。噛んだ瞬間に、流れ出たジューシーな肉汁が舌を喜ばせる。  次いで肉そのものの味が舌の上を駆け巡った。旨みが濃縮されていて、それでいてしつこくない。  あっという間に口の中からなくなってしまい、一瞬だけ夢のようだと思ってしまったほどだった。  杉元の様子を見て、松樹がくすっと笑う。     
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