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カイルが改めて両親に向き直った。
ただならぬ気負いとその巨躯に、父はつい後ずさりをするが、彼は一歩踏み出して距離を詰める。
「ゴメンナサイ、ボク……ミステイクします……しました」
片言の日本語で、父に謝る。彼にはひとつの咎も無いのに。
そうしてカイルは、たどたどしく、けれど懸命に日本語を紡いだ。
「ミチル、とても優しい、です。Love……愛がたくさん、ボクにくれるます。
ボク、ミチルと……ずっと一緒したいです……!」
カイルの大きな手は、震えていた。必死に想いを伝えようとしていた。
二度目のプロポーズだった。
胸に迫り、みちるの瞳が熱く潤む。
カイルの本音と想いを正面から受け止めた父は、険しい顔つきのままだった。
「『一緒にいたいです』、だ」
ふんと鼻を鳴らして憎まれ口を叩くが、直後、蚊の鳴くのような声で言った。
「……アイムソーリー」
初めて聞く父の英語に、みちるは、涙も忘れて笑ってしまった。
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