音屋──ツェプク ~ 少女の願い ~

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エバ曰く、部屋がまた姉の魔法と歌により冷え切ってしまったそうだ。 ソレはつまり、姉の心が凍るように冷たくなってしまっているということ。 エバの想ったのだ。 コノ“海の見える桜街──フィレートス”の地で、春祭が間近に迫っている。 春祭で陽気で暖かな空気に触れて、姉に元気を取り戻してもらおう!と。 でも…、まだ十二歳である自分だけでは力が足らなくて。 そこでエバは、同じ音屋──ツェプクに住む仲の良い友達──恋とリロードに相談しようと想ったのだ。 「春祭でクロンティスを元気に。 良い案じゃないか」 エバの考えに、エバより四つ年上のリロードが嬉々賛同する。 「じゃあまずは打ち合わせだなー、何をするか。 てかエバ、 お前、春祭の日、何か催し出る予定じゃ…」 「うん! フィレートスの街の皆と、歌と踊りを披露するの! コノ街の女神様に感謝を伝えるものなの!」 エバが嬉々と言い、ソコで恋とリロードは揃って目を合わせた。 「それじゃね?」 「それじゃないかい?」 二人の揃って言われた言葉に、エバは疑問符を浮かべて二人を見つめる。 くりくりとした丸い目が二人をじーっと見つめ、エバは小首を傾げた。
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