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外は賑やかな音と温かい日差しが降り注ぎ、柔らかい桜の花びらが風に乗りふわりふわり、ひらりひらりと舞う。
薄暗い部屋の中で窓辺の側、そんな外を眺めながらその魔女(ひと)は静かに歌っていた。
ただただ静かに、
一人で静かに。
ソノ声には感情なんてなく、ただただぽつりぽつりと言葉が零れるだけ。
あるとしたら、ただ、悲しさだけ。
静かに、悲しそうに、ただただ心が枯れてしまったように、
ぼーっと歌う少女は、何よりも美しかった。
「御姉様」
ふわり、と。
美シイ少女の後ろで、愛らしい声の少女が声をかける。
けれども愛らしい少女が姉を呼んでも、ソノ美シイ少女から返事の言葉はなく…。
「…」
もうずっと、こうだ。
ずっと、ずっと心はただただ錆びていくように枯れていって。
姉の感情がなくなっていくのを黙って見ていることしかできないことが、とても悲しく寂しかった。
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