0人が本棚に入れています
本棚に追加
──御姉様…
月日が経つにつれ、どんどんそうなっていく姉の姿に、エバの心を悲しい気持ちが嵐のように襲った。
外は温かい日差しと、はらりはらりと舞う花びらが陽気な世界を映していた。
けれど今自分達が居る部屋は薄暗く…、氷ノ魔女と歌われる姉の力が漏れ出しているのか、どこか寒い空気が漂っていた。
次第に自分の吐く息にも白くなる。
気づけば部屋にはうっすらと霜がつき始めていた。
エバが目をつむる。
そして少しして開き、真っ直ぐに姉を見据える。
ソノ背中は、とても寂しそうだった。
エバが近くにある戸棚の中から、常備品として置いている毛布を引っ掴み、姉の許(もと)へととことこと寄る。
静かで、無感情で、それでも美シイ姉の声が耳についた。
ソノ歌声ですら凍えるように寒く、歌を伝うようにリズムに合わせるように、部屋の霜が増えていく。
とても静かに、とても無感情に、それでも尚、美しく…。
──感情が感じられないなんて…、こんなの、御姉様らしくないわ。
御姉様は、もっと活発で元気な方でいらっしゃったもの…!
私が御姉様を元気にしなくちゃ!!
最初のコメントを投稿しよう!