セラフィス学園

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「そうだな……凄いとは思うぞ?」 「…………」 「だが、足りない物は沢山ある」 ……足りない物? あるとは思うけど……具体的に何かと言われると分からない。 だから、誰かに教えてほしいんだ。 「知りたいという顔をしているな」 「……どうすればいいんですか?」 「……教えることは出来ないな」 教えてはもらえないのな……。 そりゃあ、そうだよな。 簡単に分かったら強い人なんてそこら中にいるって事になっちまうし。 「だが、お前の中には目標があるのだろう?」 「……はい」 「なら、それを目指せばいい」 そうだ、俺には目標がある。 強くなって……困ってる人に手を差し伸べたい。 傷ついている人に手を差し伸べたい。 言うのは簡単だけど、すごく難しい事だ。 「周りは気にするな……お前が進みたい道を進め」 「…………」 「お前の目標は有名になる事ではないだろう? なら気にすることはない」 ……そっか。 俺は俺が目指したい道を進んでいいのか。 周りは気にするな、はまだ難しそうだけど……善処してみよう。 「さて、後は自分で考えてくれよ? 悩むのも必要な事だ」 「ありがとうございます……完全にではないですけど、固まったような気がします」 「そうか……それなら良かった」 俺がそう言うと、ラグ先生は本当に安堵したように返事してくれる。 ……俺の悩みに真剣に答えてくれたんだ。 他の先生なら適当に答えるのに……やっぱりラグ先生に頼って良かったんだ。 「……そろそろ皆が来る頃だな……頑張れよ?」 「はい!」 時間が迫り、皆がぞろぞろと集まりだす。 準備に向かったラグさんの背中を見ながら、俺はその中に混ざる。
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