問題事は増えていくのが基本

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あの決闘から一か月経った今日。 教室ではわいわいと騒いでいる。 何でかと言うと…… 「今日がサバイバル大会の開催国の公表か……」 「そうだね……」 そう、サバイバル大会の開催国の公表日なのである。 去年はバルドルナだったらしい。 なので今回はここフェンディルだと予想されている。 「おっ、先生が来たぞ」 「…………?」 「よし、お前ら席に着け」 ラグ先生が入ってきて皆は席に座る。 ……何だかいつもより表情が暗いような固いような……何があった? そう思っていたらラグさんが僕を見て口パクで「すまん、任せる」と言ってきた。 えっ? 何それ? えっ? 「今回のサバイバル大会の開催国を発表する」 その言葉に皆は盛り上がるが、さっきの口パクで僕は盛り上がることが出来ない。 それどころが最悪のパターンが簡単に想像できてしまって頭を抱えそうになる。 「……今回の開催国は、フレイロテだ」 ラグさんが重い口を動かし、それを伝える。 その瞬間、さっきまで盛り上がっていたのが嘘のように静まってしまう。 ……フレイロテ。 前に説明したかもしれないが、ここが王国ならそこは帝国だ。 本来なら10年に一回しか開催国に選ばれないはずなのだが……どうして……? 「これは国王が会議に参加し決めた事でもある……済まないが頑張ってくれ……教師達も全力でサポートする」 ラグさんのあまりにも申し訳なさそうな顔に皆は文句を言えなくなる。 まあ、つまりはかなり危険な所なんだよね……どうしようか? 「……明日には馬車で出発することになっている……各自準備するように」 そう言っていつも通り授業が始まる。 けれど、皆は気が気でないようで、誰もが集中できない。 ラグさんはそれを分かっていたらしく、何も言わない。 ……これは甘い事言ってられそうにないね。
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