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そして当日。
いつもより人数は少ないが、集合している。
やっぱり来なかった人もいるみたいだ。
ユウタ達は来ているが、緊張していたり暗い表情だったり……コンディションは良いとは言えない。
「……大丈夫なのかなぁ……?」
「なるようになれ、だろうな……」
「み、皆大丈夫だって! きっと上手くいくよ!」
ユイが不安を口にし、カノンは半ば諦めたような声でそう言い、茜が何とかテンションを上げようと頑張っている。
その中で僕はルノに「周りを警戒頼む」と目配せする。
意図が伝わったのかルノは頷く。
「皆集まって……少し少ないな……いや、仕方ないか……出発するぞ」
ラグさんがそう言うと、皆は馬車に乗り込んでいく。
表情は様々で、落ち込んでいる人がいれば、それを頑張って盛り上げようとしている人もいる。
僕達も馬車に乗り込む。
「フレイロテなんて初めて行くけど、どういう所なんだ?」
「危険なのは分かるけど……詳しくは知らないよ……」
「……貴様なら分かるんじゃないのか、リキ?」
中に入って座ると、カノンは突然僕に視線を向ける。
……僕に説明しろと?
ちなみに中に入っているのは僕とユウタとユイとカノンとハル。
ルノと茜は別の馬車に居る。
「うーん……噂通りだけど、詳しくと言われるとね……コロッセウムがあるよ」
「コロッセウム?」
「闘技場さ……まあ、ただの闘技場ではないけどね」
コロッセウムと単語を出すと、皆は頭の上に?を浮かべる。
まあ、仕方ないか……国の外にはあまり情報出ないし。
「所謂見世物……奴隷同士が戦わされたり、魔物と戦わされるのを貴族たちがみるのさ……だからあっちでは普通の奴隷はマシだと言われてるね」
「うっ……何それ……?」
「どちらにしたって地獄に落ちるだけか……どうして今回そんな国で開催することになったんだよ?」
僕が説明すると、ユイは恐怖で固まる。
そしてユウタの言う事は最もだ。
今回どうしてフレイロテなのか?
確かまだ10年経ってないはずだぞ……?
国王が会議に参加して、それで決めた。
でもそれが満場一致で決まるかと言われればまずはノーだ。
そう頭を回転させて考えていると……
僕以外の人が突然消えた。
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