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「……本当にリキ君なんだ……何だか別人に見える……」
「えー? 何処にでもいる平凡少年だよ?」
「国を創る平凡少年……何だ、私達が間違っているのか……?」
「いえ、合ってます……ただこの人が化け物なだけであって……」
「皆酷いなー」
……うん、こいつら見て俺が正しいって分かったよ。
正気取り戻せたよ、ありがとう。
……人は見かけによらないっていうのはこういう事なのか?
「まーとりあえずは一件落着ですかね?」
「学園側としてはそうもいかねえだろ……どうするんだ?」
「別に捕まった人はいたけど噂のランクXが救出した! でいいんじゃないです?」
「……捕まったこと自体を隠蔽したいんじゃないのか?」
……ブレイブさんが言いたいことは分かった。
学園側としては信頼にマイナスが掛かってしまう事は避けたい。
だからこの事件自体を無かったことにしたい。
……被害貰った当事者からしてみれば堪ったもんじゃねえけどな。
自分に被害さえなけりゃこれか。
「んー……じゃあ、何もしなくていいんじゃないですか?」
「……理由を聞かせろ」
リキが放った言葉は流石に見過ごせなかったらしく、ブレイブさんは睨みつけながら問う。
その眼光は鋭く、もしリキでなければ倒れていただろう。
「……今回の事件で学園側からのSOSは一度も無かった……つまり助ける気がなかったという事です。それで助けて文句を言われるのは流石に嫌なので、何もしないというわけです。まあ実際捕まったのがユウタ達でなければ僕も助けませんでしたし、学園の人に恩があるわけでもないですし……まあはっきりといいますと、『面倒』です。後周りに振り回される学園も見たいですし」
まるで『他人事』のようにリキは悪戯を思いついたような顔でそう言う。
途中までは頑張ったけど、熱が冷めたらゴミを捨てるように。
怒っている、というよりは興味を失って殆ど『無関心』になっているといった方が良いのだろうか?
そんなリキを見ながら、ブレイブさんはため息をつく。
「そういやお前はそういう性格だったな……まあ、確かに何か恩があるわけでもねえしそれでいいか」
最終的にはブレイブさんも学園のフォローをしなくなった。
……まあ、俺もそれでいいと思うけどな。
被害者だから何か聞かれるんだろうけど、はぐらせばいいっか。
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