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「……面倒だな、後にしろ」
「で、ですけど――」
「最後だ、後にしろ」
「っ!?」
ラグさんに対してイケメン野郎は突っかかろうとするが、言葉と同時に放たれた殺気に無意識に後ずさる。
この殺気も上手い事にイケメン野郎の周りにしか放ってないから他の人が気絶する、なんて事にならないんだよね。
……なので僕は誰かを止めるように横に足を出す。
「っ! 何をする!?」
「これ以上は前に行かない方がいいよ……失神したくないならね」
「……って、それだとユウタ君は!?」
カノンが前に行こうとするけど、僕の足に気づいて止まる。
殺気の範囲内に入った瞬間倒れてもおかしくはないからね。
ユウタは……冷や汗はかいてるけど、大丈夫そうだね。
イケメン野郎? 尻もち着いて怯えているけど何か?
「……分かったなら元のグループに戻れ」
「…………っ!!」
ラグさんがそう吐き捨てるように言うと、僕を強く睨んで戻っていく。
……睨まれても怖くないんだけどね。
「ありがとユウタ……ユウタ?」
「あ、ああ……やべえ、今になって震えてきた」
「ちょちょちょ……大丈夫?」
僕がユウタに声を掛けると、震えながら僕に倒れ掛かってくる。
さっきのは痩せ我慢だったのか……いや、それでもよく耐えれたな。
さっきのイケメン野郎も耐えていた方なんだよね……一般人が受けたら最悪ショック死するからね。
「……ああ、すまない……抑えたつもりだったのだが」
「い、今ので抑えてるの……?」
「……信じたくないな」
ラグさんの言葉にユイとカノンは驚愕する。
うん、確かに抑えている方だった。
……でもここは学園だよ?
もうちょっと抑えなきゃ正体バレるかもしれないぞ?
……なんてラグさん自身が分かってるか。
それでもああしたのは、聞かないからだろうね。
ああいうのは強引が一番だし。
「さて、それじゃあ使い魔召喚をするぞ! 各場所に魔法陣を一つ作ったからそこで召喚してくれ! くれぐれも禁忌召喚だけはするなよ!」
ラグさんがそう言うと、グループごとに散り散りになって召喚し始める。
僕達も魔法陣がある場所に集まる。
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