使い魔召喚

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「まずは小手調べじゃ」 「さっきのは小手調べですらなかったのかよ……っ!?」 少女が手を前に出すと、魔力が集まり始める。 チャンスだと思い、地面を蹴って近づいて――!? 「っとぉ!? あっぶね!?」 「近づいておいて避けるとは……中々やるのぉ」 少女が魔力の衝撃波を放ってくるのを、寸前で気づいて横に飛ぶ。 溜めて隙を見せていたのは誘い込みだったのか……いや、でも近づけたならいい! そのまま体を捻り―― 「おっらぁっ!」 魔力を込めてアロンダイトを振るい、衝撃波を飛ばす。 その後すぐに地面を蹴り、少女に向かって飛ぶ。 「ふっ! なるほど、接近戦か! 妾も得意じゃぞ!」 「っらぁっ!!」 少女は手に闇の魔力を固めたような大剣を持ち、俺のアロンダイトを受け止める。 ガキンッ! と音が響き、手に反動が来る。 この少女……この体でとんでもねえ力だ! 筋力には自信があったんだがな……でも、俺にはこれしかない! 距離を離されたら勝機が無くなる! 「おおおおおおっ!」 「おおっ……なるほど! ここに呼ばれるだけの事はある!」 大剣と大剣がぶつかり合う中、少女は興奮しながらそう叫ぶ。 まるでこの戦いを楽しんでいるかのように。 「だが! まだ足りぬ!」 「がっ……!?」 少女の大剣にアロンダイトが弾かれ、腹に蹴りを入れられる。 肺から空気が吐き出され、地面に向かって飛ばされる。 不味いっ……!! 「まだそなたは全力を出しておらぬ! それでは妾は契約できぬぞ!」 「ぐっ……!」 「契約できぬなら……殺すしかないぞ?」 ああ、くそっ……俺、死ぬのか……? まだ強くもなれてないのに……守れてもないのに……! 「……そうじゃな、ここからそなたが元いた場所にも飛べるからの……虐殺でもしてくるかの」 ……虐、殺? 誰かが……死ぬのか? 何も……してないのに? その瞬間、脳裏に過去が過る。
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