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「……それで、これって依頼なんです?」
「いや、そうじゃないらしい……まあ、あいつが思いつきで何かするのは珍しい事でもないがな」
「思いつき……ありそうですねぇ……」
ふむふむ、この学園に通うのは依頼とかじゃないんだね。
ラグさんがあいつ、と言ったのは僕が入っているギルドのマスター。
ギルドマスターになれるくらいだからとんでもなく強い。
……思いつきで振り回されることもあるけど。
「ああ、後は……優秀な奴がいるならスカウトしてくれと言っていたな」
「それラグさんがすればいいんじゃないんですかねぇ……?」
「一番近くで見れるお前が適任だと思ったんじゃないか?」
優秀な人がいるなら、ねぇ……見つけたは見つけたけど……今はまだいいな。
ていうか僕仕事任され過ぎじゃないですかねぇ……?
普通に学園生活をエンジョイしたんだけど。
「まあ、それ以外の時は普通に過ごせるだろう……」
「それならいいですけど……」
「しかし、さっきの魔力なしと言ったのはどういう事だ?」
うーん……やっぱり聞かれるかぁ。
まあ、実際はあるしね……それも大量に。
ランクXなんだから、それくらいはね?
「いや、昔それで差別とかされてた子がいたじゃないですか……その気持ちを知りたくてですね」
「ああ、ヒイロ・ホワイトネス……いや、今はセブンシーだったか?」
「昔は魔力なしだったのに今は僕達と同じ位置にいますからね……差別してた貴族共ざまぁですよ」
昔と言っても四年前。
一人の男の子……さっきラグさんがいったヒイロって子がいたんだけど魔力なしで差別されたり人間扱いされなかったり……散々だったね。
けど、その魔力なしって言うのは違って、本当は魔盲と言う魔力が閉じ込められている状態だったんだよね。
それでギルドマスターとラグさんで協力して魔盲を解除したんだよ。
そしたらとんでもない魔力が溢れてきてね……下手すれば僕達すら追い越された可能性があったよ。
そしたら差別してた貴族共は掌を翻して「我が子だ!」とか言い出しやがったんだけどヒイロは戻る気なし。
僕達はヒイロを守るスタンスでいたし、ギルドで預かることにした。
ファミリーネームについてはギルドマスターが「セブンシー方が良くね?」ってなってヒイロもそれでいいって言っちゃったので変わったんだよ。
今では僕の可愛い弟みたいなものです。
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