人形師 ウル

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「ダメだよFー7、こんなでもお偉いさんらしいから殺すと後々が面倒なことになるし~」 「フンッ!どうやら立場を理解する頭はあるようだな。」 怒気を越えて最早殺気に近い威圧感を放つFー7を他所に壮年の男は尚も続ける。 「人形師は人形師らしく依頼された人形を作っておれば良いのだ!お前の様な者にはそれしか能が無いのだからな!」 「ハァ…何か勘違いしている様だから言っておくけど僕は君達の主である国王から良い材料を無償で提供するって言う条件でこの国に居るだけであって、この国に忠誠を誓った覚えも無ければ君達に人形を渡す義理も何もないんだ。 したがってお前が権力を振りかざした所で僕には関係ない話でお前は僕にとってその辺の人間と大差無いんだ、つまりお前を殺そうと少々面倒臭いだけであって殺せない訳じゃない。」 顔を真っ赤にしてワナワナと震える壮年の男は殺る気満々なのか腰の剣を抜き放ち、切っ先を此方へと向ける。 「さっきから黙って聞いておれば付け上がりおって!人形師風情に私が殺せると思っているのか!!」 「僕は兎も角、少なくともFー7はお前を殺せるだろうね。」 「それは殺して良いと言う事でしょうか?」 にこやかに拳を握り込むFー7に言葉無く頷くと一瞬にして地獄が始まった。 甲高い音と共に男の剣が砕け散り、その破片の合間を縫うようにFー7の拳が男の右頬を捉えたかと思うと男の首が在らぬ方向へと折れ曲がり、文字通り瞬きする間に男は命を落としたのだった。 「流石だね、もうパーツ交換時期だって言うのに現役騎士を一撃とはね~」 「いえ、新品パーツであれば最初の一撃目で終わっていました。」 悔しそうに腕の具合を確かめるFー7の言う通り、本来のスペックであれば最初の一撃で剣諸共頭蓋を砕いてた筈なのだ。 「ま、頭が消し飛んでない時点でスペックの半分も出てないのは明白だよね~」 「申し訳ありません、自己メンテナンスは怠っていないのですが限界があるようです。」 砕いた剣の破片でも紛れ込んだのだろうか?関節の動きが先程よりもぎこちないものになっていた。 「いいよいいよ、自己メンテは飽くまで気休めみたいなものだし。 それより今度は関節保護用に人工皮膚でも着けてみようか~」 「マスター…また請求書の山が来ますよ?」
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