12人が本棚に入れています
本棚に追加
「二人とも可愛いわ」
バナナさんは会話に入らず、ニコニコしている。
バナナさんと目が合うと、
「キウイちゃん、綺麗だよ」
と言ってくれた。
そういう、バナナさんもカッコいい。
「あ、ありがとうございます。バナナさんのおかげです。バナナさんこそ、素敵です」
恥ずかしくて小声で言うと、バナナさんは顔を赤らめた。
「何、二人して赤くなっているんですか?さあ、行きますよ」
メロンさんの声に私達はそれぞれの場所へ移動した。
人が沢山入って来て、私達を見て写真を撮ったり、
感想を言ってくれたりした。
その中にあの人がいた。
「うちのキウイがこんな風に綺麗になるなんて…」
私の前に立って、まじまじと見た。
綺麗って言われて、恥ずかしい…。
「そうね、こんな風に変わるものなんだね~」
あの人の奥様もそう言って、嬉しそう。
写真まで撮ってくれた。
そう、私はこの人達に育てられたキウイ。
そして二人は今日、私に会いに来てくれた。
とても嬉しい。
あの人に綺麗と言われて本当に嬉しい。
…だけど、さっきバナナさんに言われた
『綺麗だよ』
のほうが数倍嬉しいのは、何故かしら?
首を傾げてみたが分からない。
あとで、メロンさんに聞いてみよっと。
それにしても、沢山の人でみんなが見えない。
ここは何をするところ?
──『フルーツアート展』開催中です。
皆さんもよければどうですか?
遠くの方でそんな声がした。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!