この素晴らしい世界にトゥクトゥクを(短編版)

この素晴らしい世界にトゥクトゥクを

三輪タクシーという、日本人からすればのっけから疑問符が点灯するような乗り物があるらしい。

1990年頃作られた有名なアニメで三輪トラックが出てくるが、あれの人員輸送車版と考えればいいのか。

ともかくも、そんな辛うじて想像つくレベルの乗り物の名前が忌の際にばぁさんの口から出たのも驚きであれば、

遺品整理の折アルバムから『それ』とばぁさん、そんでもってじいさんとメガネでハゲの運転手の4ショットが出てきたのも驚きであって。

そして、それに写るじいさんばぁさんモノクロ写真が色付きそうなほど幸せそうに笑っているのにも………驚いた。自動車技師だったじいさんは俺が生まれる前、作業中の事故が元で死んだから覚えがあるわけもないが、記憶上ばぁさんがこんなにも屈託なく笑っているのを見たことがない。

その理由は今更…珊瑚の欠片みたいになって箸先に摘ままれている形になってしまった以上、もう聞き出せるものでもない。

だが、ばぁさん子だった俺は今………高校卒業を目前に控えて、大学も決まってほぼやることがない今、

そんなばぁさんがああまで、心の底から幸せそうに笑っているが気になってしかたがなくなっている。