この素晴らしい世界にトゥクトゥクを

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ばぁさんは忌の際に、 「トゥクトゥク」「チョンプー・パンティップ」「見たい」 という三語を遺して三途の川を渡っていった。 なるほどその二つはともに、その写真群の中に多く写りこんでいるものだった。 ばぁさんがなぜこれを見たがったのか。 俺はそれを探すために飛ぶことに決めた。 その写真にあった場所は遠かった。 タイ。 何か高尚な理由があるわけでもないのだが、ばあさんへの感謝を胸にして俺はそこへ向かうことにした。 骨壺から遺骨を1片ちょろまかすという、仏が知ったら飛行機が落ちそうな罰当たりを犯しつつ。 もう一回ばあさんにその光景を見せるために。
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