§ 第1章 へその下に気合いを入れる §

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 美鳥はこの世へ来る前、 一つの願いを叶えようと別世界から移動して魂の行き来する不思議な空間にいた。 そこで兄達が来るのを待つと一瞬で姿を消した。 と、 同時に彼女に関わる記憶と自身の記憶を喪失した。 そんな彼女がこの世へ来てどうなったか……  美鳥の写真は小学校六年生まで一枚も存在していない。 普通なら信じられないけれど美鳥は別段不憫に思わなかった。 なぜなら元々佐藤家は写真を撮らない家庭だったから。  美鳥は幼稚園や小学校へ通い、 平凡に友達と過ごし両親の愛情に満ち溢れていたからその記憶で十分だった。 とは言え実は自身が作った架空の記憶にこの世界の流れを器用に混ぜ合わせたリアルな現実に全く自覚のないまま美鳥は生きていた。
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