櫻の樹の下には屍体を埋めている

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 + 「あ、慎吾いたー!」  大学の喫煙所で煙草を吸っていた渋谷慎吾は、遠くから聞こえる声にケータイから顔をあげた。 「チカちゃん」  走って来た女性に軽く片手をあげてみせる。煙草を手早く灰皿におしつけると、女性の方に向かう。 「どーしたの」  チカの隣には、別の女性もいた。なんだか深刻そうな顔をしている。顔は見たことあるな。 「確か、チカちゃんと同じ文学部の……、サオリちゃん?」  記憶ファイルをたぐり、名前をひっぱりだす。サオリは驚いたような顔をして、一つ頷いた。 「あんた、ホント無駄に記憶力いいわね」  チカの呆れたような言葉に、 「可愛い女の子の顔と名前は忘れないよ」  へらり、と言葉を返した。 「それで、どうしたの?」 「依頼」  端的に言われた言葉に、表情を引き締める。 「なるほど」  最近、何でも屋として学内で名を広めている渋谷慎吾は、微笑みながら頷いた。 「話を訊きましょうか」
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