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部屋着に着替えて戻ってくると、ケータイに円からの転送メールが届いていた。写真を開くと、猫が寝ていた。白くて、赤い首輪をつけていて。
「……円姉」
「ん?」
「あたし、この子さっき見た、と思う」
見覚えがある。
「え、どこで?」
「……どこでっていうか」
見覚えはあるけれども、これはいいことじゃない。
見かけたのは、生きている姿じゃなかった。
言い淀んだことで、自分も見える人間である円は察したらしい。
「ああ、そういう……。事故とか?」
「じゃなくって」
言いかけて、思い出す。見たのは、一匹じゃなかった。メールを遡り、同じように円から転送されてきた過去の写真を見る。
「ああ、やっぱり。……渋谷さんが探している、他の犬や猫も見たの」
すれ違った男の背中。呪いのようにまとわりついていた。
「……人的な?」
頷くと、円は険しい顔をしてケータイを操作し、耳にあてた。
「慎吾? 今からうちに来なさい。はぁ? デート? 知らないわよ、どうせ本命じゃないんでしょ? ……ちょっと、厄介なことになってるみたいよ」
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