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「じゃあ、見かけたら電話して」
「はいはい」
「りょーかい」
拠点に決めた公園。慎吾の言葉に、円と呼び出された直純が返事した。
「……なんか、ごめん。俺が頼まれたのに」
「適材適所、あんた見えないんだからしょうがないでしょ」
「そうそう、慎吾は見つかったあとどうするか考えててよ」
「それなぁー」
死んでることが確定しているなんて、気が重くなる。
「頼む。気をつけて」
「じゃ、とりあえず一時間経ったら戻ってくるからー」
あんたあっちね、なんて言いながら去って行く二人を見送る。
「……適材適所ね」
何もできないことを歯痒く思う。公園のベンチに腰掛けた。
目の前には大きな桜の樹がある。
見上げると、花は咲き出していた。三分咲きと言ったところか。この段階でも、綺麗だなと思う。
「……本当、どうするかなー」
盛大に溜息をついた。
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