桜とトモに散る

11/22
前へ
/22ページ
次へ
それからあっという間に時間が過ぎて、卒業式の日になった。 服装はいつもより気合の入ったもので、今まで着たことがないビシッとしたブレザーを着ていった。 別の中学校にいく子もいたが、だいたいは同じ中学校なのであまり寂しいと感じなかった。むしろ来月から中学生になるということでわくわくしているくらいだ。 生徒達とは反対に先生達の多くは涙を流していた。一番泣いていたのは、予想通りというか、岩井先生だった。最後に先生から一言あったが、涙声で途中から何を言ってるのか分からなかった。意外だったのは担任の細田先生も泣いていたことだ。いつも落ち着いた様子で、坦々と喋る様子から生徒から「あれは人間の振りをしたロボットだ」と言われていたから僕も少しビックリしたし、ちょっと嬉しくなった。 クラスの集合写真を撮って、三十分くらい先生やクラスメイトと話したあと、いつも通り僕はマー君と一緒に学校を出た。 二人共、手には卒業証書の入った筒を持っている。これを持っているとなんだか少し強くなった気がする。マー君と小学校の思い出を語りながら帰った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加