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「来月からは別々の中学校だね」
今まで笑っていたマー君がややテンションの低い声で言った。
清々しい気分でスキップしたいくらいだったけど、頭の隅にそのことが引っかかっていた。
家は近い場所にあるというのに、学区が違うということでマー君と違う中学校に行くことになっていた。
「確かに……。でも、一生の別れってことでもないし、それに家が近いから会おうと思えば会えるしね」
「それもそうか。あ、そうだ」マー君がズボンのポケットの中をごそごそしだした。「これをタカ君に貰って欲しいんだけど」
マー君の右手には桜が描かれた丸い形のキーホルダーが載っていた。
「これは?」
「場所は忘れたけど、どこかの神社で二年前に買ったやつ。お守りがわりで持ってたけどもう必要ないと思ったから」
キーホルダーを受け取ってよく見てみると、桜の絵の下に「八重桜」と書かれている。
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