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「中学校の準備もしなくちゃいけないし、絶対に行けるか分からない。行けそうだったら電話するよ」
「うん、分かった。電話が来るのを楽しみに待ってるよ」
そのあとの会話も盛り上がって、気づけば家の近くまで来ていた。
「とりあえずお別れかな。花見に行けたら行こう。じゃあ、またね」
僕は笑顔で右手を振った。
「うん、また。さようなら」
マー君も手を振り返したが、途中で顔を手で拭った。どうやら泣いているようだった。
それを見て僕も泣きそうになったけど、グッとこらえた。それはお父さんが「誰かと別れるときに泣いちゃダメだ。泣くと気分が落ち込むし、お互い嫌な思い出として残る。相手が死んだ、とかでもない限り笑った方がいい」と言っていたことを思い出したからだ。
前方の道路を左に曲がる前にマー君が立ち止まって軽く手を振った。
マー君の姿が見えなくなったあともしばらく僕はその場に立っていた。
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