桜とトモに散る

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家を出た瞬間、暖かい日差しに包まれた。 昨日はちょっと寒かったから、覚悟して玄関の扉を開けたというのに、なんだか心配して損した気分だ。今日は長袖じゃなくてもいけそうだ。ただ、今からまた着替えていたら学校に遅れてしまう。お母さんがいつも、「天気予報を見ないさいよ」と言っている意味が分かった気がした。 家の中に聞こえるよう大声で「いってきます」と言ってから僕は学校に向かった。 空には雲が無くてどこまでも青色が続いていた。ぽかぽかとした感じは元気がみなぎってくる。僕も植物のように光合成をしているのかもしれない。 今年もやっと春になった。やっぱり寒いと外に出たくなくなるから暖かい方が好きだ。なんなら冬はなくてもいい。春夏秋だけで十分だ。 春、といえば僕は最初に桜の木を思い浮かべる。おそらく小学校にいく途中の川沿いに桜の木が植えてあるからだろう。毎年桜が咲いた時に家族で花見をする。今年もやる、と言っていたから、もう既に頭の中は桜の花びらでいっぱいだった。
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