桜とトモに散る

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「桜のことで何か他に知ってることある?」 「えっとね、桜の葉っぱには毒があるよ」 「ほんとに!?」 桜について一通り聞き終わったところで、僕たちが通う小学校についた。どんな小学校かと聞かれたとき、説明するのは難しい。特に校舎が大きいわけでもなく、敷地が広いということもない。変わっているといえば、やたら熱血な先生がいっぱいいる所だと思う。 校門のそばで生徒ひとりひとりに挨拶をしている副担任の岩井先生もそうだ。 「お、澤田に篠原か、おはよう。今日は結構ぎりぎりじゃないか。どっかで道草でもくってたか」 僕たちが校門に近づいたとき、岩井先生がこっちを向いた。その熊のような見た目通り、声がものすごく大きい。僕は少し先生から距離をとった。 「桜のことをマー君と話してたんです」 「桜か。そうだな、もうそんな季節だな。再来週あたりに学校にある桜が咲くと思うぞ」 そう言って先生は校舎脇の大きな木の方を見た。
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