桜とトモに散る

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午後の授業、帰りの会が終わり下校の時間となった。クラスメイトは皆笑顔で教室を出でいく。さっきまで暗い顔をしていたやつも、とり憑いていたものがなくなったかのように飛び出していった。 「僕たちも帰ろう」 僕はランドセルを背負ってマー君に声をかけた。 「ちょっと待って」 マー君は机の引き出しを開けてごそごそしていた。机の上に教科書が何冊かのっている。どうやらもう少し帰りの準備に時間がかかりそうだった。 「おーい、篠原、ちょっといいか」 教室の黒板前にいる担任の細田先生がマー君を手招きした。手を止めてマー君は立ち上がって先生の元に向かった。何か真面目な話をしているのは先生の顔から想像できるが、まだ教室に残っているクラスメイトの話し声のせいで内容は分からなかった。 数分後、マー君が浮かない顔をしてこちらに歩いてきた。
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