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 定休日――。  早朝から備品買い出しのため浅草橋へ出かけた相田は、買い物を済ますと店に寄り、荷物を置いて階段を下りた。  昨晩閉店後から妙に頭が冴え渡っていた。最近の公私の乱れを反省し、集中して早朝まで新作メニューの試作を行った。その勢いで問屋の開店を待って電車に乗ったのだった。  営業中からほとんど休んでいなかったため、さすがに疲労感もピークだ。  だからその風景もはじめは、最高潮の眠気が引き起こしたものだと思っていた。 「和雅さん……」  小さな男の子の手を引く、背の高い男が向こうから歩いてきた。相田に気付くとその場に立ち尽くしている。  黒縁めがねをかけているせいか、一瞬誰だかわからなかった。 「俊介、か」 「パパ……?」  傍らの男の子が俊介を不思議そうに見上げる。惚けたようにしていた俊介は、男の子の声に、我に返るとピシッと背筋を伸ばし、それから腰を折った。 「おはようございます、和雅さん。ほら、ゆう……も挨拶しなさい」 「……おはよう、ございます」  男の子の背中に手を添えて一歩前に進ませる。男の子とは俊介の腕を両手でぎゅっと握って顔を見上げ、それから相田を見据えると、ぺこりとお辞儀をした。     
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