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「オレンジの皮でフランベさせるの、初めて見ました。いつもはグラスを使ってましたよね」
「悠成を喜ばせたくて、練習してみたんだ。まあまあだったろ?」
「すごかったです。でも……ちょっと妬けます」
「オマエ……子どもに焼きもち妬いてどうすんだよ」
「クレープまだですかー?」
こそこそと小突き合う俊介と相田にしびれを切らしたのか、悠成がテーブルから声を張り上げた。
「ごめん、今持っていくぞ」
「わー、オレンジ色がキラキラしてキレイだね」
大人っぽい味付けが、もしかしたら悠成には合わないかもしれないという心配は杞憂だったようだ。悠成はナイフで小さく切ってやったクレープシュゼットを、フォークを使ってパクパク食べていた。
「悠成、うまいか?」
「うん! おいしい」
「そうだろー。和雅さんのクレープシュゼット、最高だよな」
パパの好物だから作ってくれたんだぞ、と大人げない俊介を肘でつつき、皆で笑いながら平らげた。
食べ終わると悠成は疲れたのか、俊介にうながされて、かろうじて歯磨きだけを終えると、風呂も入らず眠ってしまった。
「風呂は、明日でいいかな?」
「そうですね」
「もしかしたら、朝風呂に慣れちゃったんだろうか?」
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