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 俊介が悠成をベッドに運んでゆく間、相田はテーブルの上を片付け始めた。洗い物をしていると戻ってきた俊介に、後ろ抱きにされる。 「おい、片付け……」 「俺が明日やります」  首筋にキスをされ、ぞくりとする。泡だらけの手を、そっとつかまれるだけで鼓動が早くなる。丁寧に撫でられながら泡を落とし、後ろを向かされた。 「んっ……」  そっとキスされただけで、甘い声が鼻から抜ける。互いの唇を貪り合いながら、リビングのラグへ倒れ込んだ。急いた気持ちで俊介のシャツのボタンに指をかける。  ほとんど一緒に暮らしていても、ふだんはどちらかが悠成と一緒に居る生活で、俊介と相田が、ふたりっきりになることはほどんどない。だから眠る前とか、ちょっとした隙にキスを交わすくらいが精一杯で、セックスまでそうそうたどり着けない。  まれにそのチャンスが訪れたときも、ベッドじゃない場所で、声を殺しながら早急に進めてしまうから落ち着かない。  だから今日みたいに、じっくり見つめ合うのは久しぶりで、妙に恥ずかしい。  相田を見下ろす俊介の扇情的な表情で、灯りが点いたままであることを意識した。 「なあ……電気、消さねえ?」     
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