204/206
前へ
/220ページ
次へ
「和雅さんも大概ですよね……呆れます。それでも大好きですけど」 「なんでオレがやれやれみたいな扱いになってんの?」 「やれやれって、言いたくもなりますよ……俺の長い長い片思い人生、なめないでください」  真剣に相田が話しているのに、俊介は額に手をやって、心底呆れたと言い放った。 「俺にとって、あなた以上に魅力的な人なんていません。これからも絶対でてこない。やっと俺のものになったんだ。和雅さんと過ごす時間は、百年でも足りないです」 「うっ…………」 「エッチだって、全然し足りないし」 「はあっ?」  昨日の行為を踏まえての発言だとしたら、底なしの性欲だか執着だかには身震いしてしまう。 「ばっ、ばかじゃねーの……オレもう若くないし、からだ持たないから」  必死の反論にも、俊介はふっと不敵に笑う。 「俺に抱かれまくって、いつもクタクタになってれば、和雅さんもくだらないこと考えなくて済むでしょうよ」  飄々としているようで、実は考え出すと止まらないネガティブ思考の相田のことを、俊介は ちゃんとわかってくれている。  どうしても蚊帳の外にいたがる相田を、くだらないと一蹴してしまう俊介の強さに、改めて救われる。 「それから、やっぱり一緒に住みましょう」     
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

534人が本棚に入れています
本棚に追加