振られても好きなひと

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 バッチーーーン!! 「はあっ…………?」  ここはホテルの一室。頬を張られ、はじめは驚いて、ただ目を瞬かせた。  目の前にはバイト先が一緒の大学生、愛美がいる。スカート姿だが、上半身はブラジャーのみの恰好で、俊介を涙目で睨んでいる。  愛美になんで睨まれてるかもわからない。頬を触るとじんじんと熱をもって、痛みが伴ってきた。 「ってえ……」 「痛いのはこっちだから!! バカ俊介」  そもそもなんでこの子と一緒にホテルにいるのだろう。俊介は記憶をさかのぼってみた。  バイト先のファミレスの夜の部は学生バイトが多く、皆仲が良い。  俊介は劇団に所属しているものの、役者では到底食っていけずほぼフリーターだ。同じ年の頃でも、学生の彼らとは立場が違う。だからノリが合わないだろうと、適度に距離を置いていた。が、その日は愛美にしつこく誘われて飲み会に参加したのだった。
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