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「最低で結構。他当たってくれって言いたいところだけど、オマエ、ヤりたいって言ってたよな……ガキの割にはいい身体してるし。まあ、それだけの関係ならいいぜ」
「それだけって……?」
「セックスするだけならいいってことだよ」
俊介の顔がみるみるゆがみ、真っ赤になった。壁についた手を怒りで震わせている。
「ほら、来いよ……」
顔に触れようと伸ばした手を強く振り払われた。
ぐらりとまた頭が揺れたが、今度は俊介も助けてくれない。うつむいたままとどめを刺す。
「ヤりたいときに、すぐきてくれるやつは、何人いても便利だからな。面倒見てもらった礼に、今からでもするか?」
「…………ほんとに最低だ」
ドンっと壁をひとつ叩くと風呂を飛び出た俊介は、着替えもそこそこに出ていった。
あのとき、俊介の瞳にうっすらと浮かんでいた涙と、相田の言葉に愕然として、よろけそうな後ろ姿がいつまでも目に焼き付いて離れない。覚えていたくなどなかったのに。
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