きっと僕らのその先は

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失敗は連鎖する。それはただの偶然かもしれない、でも、一回目の失敗から二日経っていたって、人はそれを連鎖と思い込む。 きっと二回目が一週間後だって連鎖と思い込むのだろう。 不用意なミスを認めたくないがために。 そして、ここに、その連鎖真っ只中の哀れな女が一人。 「・・私の何がいけなかったって言うのよ」 「まぁまぁ、落ち着いて。ね、志のは悪くない」 「だって・・、だったらなんで振られるのよー・・」 何処にだってある居酒屋のカウンターで二人、片方が片方の肩を擦るように寄り添っていた。 志のと呼ばれた女性は頭をがっくりと下げ、右手に持ったグラスが時折飛沫を上げている。 酔っぱらいながら涙を流し兼ねんほど目に雫を溜めている志のは、周りの視線さえも気にしないまま、ぐずぐずな言葉をしきりに吐いていた。 「志のは頑張り過ぎなのよ、きっと思い過ぎっていうか、なんていうか・・」 「・・重い?!、わ、私って・・重いのかな」 「重いなんて言ってないから、相手を思いやり過ぎって言った・・あーあ・・」 「ゆ、由紀がそういうなら・・やっぱり私って・・」 由紀と呼ばれた女性が必死に訂正をし始めた時にはもう遅く、その光景に額に手を当てしくじった顔を見せる由紀もまたやりきれない面持ちだった。 目の前に出された枝豆と小鉢に入った肴は一つも手が付けられておらず、割り箸すら割られていない。 唯一、一度広げられたであろうおしぼりが乱雑にテーブルに投げ捨てられていた。 志のの手に持たれているグラスに入っているのは無色透明の液体。グラスの大きさから見て、日本酒か焼酎だろう。 一気飲みする物ではないソレを、空にしては注ぎ、また空にしてと勢いで流し込む姿に、由紀は今日中の帰宅を諦め始めていた。 「志の、飲みすぎ。知らないよーあんた明日仕事でしょ」 「そーらけど、何?何か問題あるの!?」 「呂律回ってないじゃん、ほら、もう帰ろ?」 「嫌!!もう飲んで忘れるの・・じゃないと私・・っわた、し」 振り払われる手を無理矢理掴むと、声を張り上げた志のが今度は弱弱しく俯く。 ざめざめと涙を流し始めたその姿に本日2度目の面くらいを喰らって、気が晴れるまでいいかと志のの腕を離した。
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